ここでは「ピアノ」「音楽療法」「音楽プロジェクト」の3つをどのように組み合わせてレッスンを進めていくかについて、例をあげながら説明して行きます。
小学生のAさん
Aさんは小学校1年生の女の子。
小学校に入学して間もなく当スタジオにやって来てくれました。
Aさんはピアノに興味があると始めからはっきり伝えてくれました。
このように本人の意思がはっきりしている場合はもちろん「ピアノ」のレッスンを基本に行なって行きます。
ただ、小学校低学年でピアノがまったく初めての生徒さんの場合は、プレピアノとして音楽遊びを中心とした「音楽療法」の要素を取り入れつつ進めて行きます。
音楽遊びの中で楽譜の読み方やリズムの感じ方などを体験し、スタジオにも音楽にも慣れてきたら徐々に本格的なピアノのレッスンに移行して行きます。
ピアノのレッスンが始まると同時に「マイ音楽プロジェクト」(ひとりで取り組むプロジェクト)も始まります。
ピアノの基礎はしっかりやりつつも、自分が何をどのように、どうやって弾くかをプロジェクト化して自己主導で進めていく姿勢と方法を、楽しみながら身につけて行きます。
しばらくしたら、ピアノの連弾や合奏などで「チーム音楽プロジェクト」(チームで取り組むプロジェクト)に参加できたら良いなと思って日々の成長を見守っています。
未就学のBくん
Bくんは保育園に通う5歳の男の子。
発達検査でADHDとの診断を受けています。
音楽に特に強い興味を示している様子から病院で「音楽療法」を進められ、いろいろ調べる中で当スタジオを見つけてくれました。
初めは打楽器を中心とした「音楽療法」を行っていましたが、しばらくするとBくんがピアノを弾きたがる機会が増えて来ました。
そこで、音楽療法のセッションの中で使用する楽器に「ピアノ」を取り入れることに。
今では、その日の気分や目的に応じて打楽器とピアノを使い分け、好きな曲を思い切り楽しんでいます。
レッスンを自己主導で楽しむ力はもともと備わっていて、もしろ好きなことしかしないBくんでしたが、どうしても弾きたい曲ができたことを機に、最近少しづつ「マイ音楽プロジェクト」の要素も取り入れています。
今はまず、「好きな曲をピアノで弾きたい」という目標のために自己コントロールしながら進めることを学んでいるところです。
中学生のCさん
Cさんは中学2年生の女の子です。
小学生の頃ピアノを習っていましたが今はやめています。
でも音楽は大好きで、最近はバンドに憧れてギターやベースなどの楽器に興味を持っています。
当スタジオには音楽プロジェクトに特に興味を持ってやって来てくれました。
ただ残念なことに当スタジオには、まだギターやベースの専門の講師がいません。
またCさんもバンド活動には興味があるけれど、自分はこの楽器をやりたいという、はっきりとした希望があるわけでもないようでした。
そこで、まずは「マイ音楽プロジェクト」として自分のやりたい音楽のスタイルや楽器を見つけることから始めることにしました。
さまざまなバンドの動画を観たり、音楽のジャンルを聞いたりしながら、自分自身の内側の感覚に従って分類分けをして行きます。
そのような作業を通して今の自分がやりたい音楽や楽器を見つけ、それを実現するためにどのような方法をとるかを決めて行きます。
そして当スタジオでできること、できないことを伝え、必要があれば外部の講師を一緒に探して、レッスンを依頼することも選択肢に入れて行きます。
Cさんの今の所の目標は、ひとまず自分の好きな曲がたくさん見つかったので、それを「ピアノ」で弾けるようになることと、その曲の楽曲分析をできるようになること、そして自分で作曲ができるようになることです。
理由は「1人でいくつものパートを担当できるのはピアノだけだと気づいたから」だそうで、「ピアノを高いレベルで弾けるようになれたら、バンドの演奏にも役立つし、他の楽器の習得も早いと思うから」とのことです。
Cさんのように既存の枠にとらわれない生徒さんが増えることで、将来的にチーム音楽プロジェクトの種類や可能性が広がると考えていて、当スタジオでは、外部の講師やボランティアの方々と積極的につながって、制限や枠をどんどん壊してサポートの輪を広げて行くことを検討しています。
これらはたくさんある中のほんの一例で、レッスンの組み合わせ方や生徒さんの目標はそれぞれまったく違い、生徒さんの数だけあります。
ひとりひとりの個性・特性・希望などによって完全オーダーメイドで一緒に作り上げて行くので、自分のやりたいことをどんどん伝えていただき、みなさんの音楽を通じてなりたい姿を一緒に創造して行きましょう。